「南ちゃんのお父さんとは違う」 声優・日高のり子さんが語る父

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聞き手・小川崇

 東京・九段の洋服の仕立屋の3代目です。店を営みながら空手の師範もしていました。弟2人と一緒に、よく道場に連れて行かれましたね。休みの日は皇居一周のランニング。夏休みで海水浴場に遊びに行っても、途中から父が手をたたくと、砂浜での走り込みが始まります。家には鉄げたが置いてあったんですよ。見たことありますか。いま89歳。とにかく体を鍛えるのが大好きなんです。

 普段は厳格で寡黙ですが、外食に行くと、「肉を食べたら野菜を倍食べろ」みたいなことを熱く語っていました。父が熱弁している間に私たちがもりもり食べて、気がついたら父の分がなくなりかけている、なんてことがありましたよね。私が声を担当した「タッチ」の浅倉南のお父さんとも、「となりのトトロ」のサツキのお父さんとも違うタイプ。声を演じながら重ね合わせるようなことはなかったですね(笑)。

 私は最初、俳優を目指していて、小学6年のころには空手をやめ、演劇一筋になりました。でも日曜のランニングは一緒に続けていました。声優になる前、歌手としてデビューしました。同世代のアイドルたちは、家族から離れて単身頑張っているのに、自分は実家にいて衣食住の苦労がない。父からは「ハングリー精神を持て」と言われました。

 父は、高校卒業後、大学に進…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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