北九州地区で発生した今年1~8月の交通事故件数が過去15年で最少となったことが、県警のまとめでわかった。減少の要因の一つとして、県警は直進と右折の信号表示を分ける「右折車両分離信号」の設置を挙げる。北九州市内には昨年1年間で交差点の人身事故が全国で最も多い交差点があったが、今年1月に同信号が設置され、事故が激減した。
事故最多の交差点
9月下旬の夕刻、郊外にある小倉南区湯川2丁目の湯川交差点は、多くの車が行き交い、長いテールランプの列が続いていた。
国道10号と県道がY字に近い形で交わるなどした変則5差路の同交差点。一般社団法人「日本損害保険協会」がホームページ上で公開している「全国交通事故多発交差点マップ」によると、2018年は18件の人身事故が発生し、全国最多だった。
同交差点に北から進入する県道が下り坂になっているなどスピードが出やすく、直進する車と、対向車線から右折する車との衝突事故が多発。小倉南署によると、同交差点では過去5年間で60件の事故が発生し、そのうち21件が直進車と右折車の衝突だった。交差点近くのカメラ販売店の従業員も「直進車と右折車の事故を2回は見た。いつも危ないと思っていた」と話す。
そこで、今年1月に右折車両分離信号を設置したところ、設置以降の事故件数は1件(8月末時点)で、前年同期から7件減少した。「信号が変わってからはだいぶ事故も減ったなと思います」と同従業員。小倉南署の橋本慎一交通課長は「右折車両分離信号は事故の減少に貢献している」とみる。
レーン確保に課題
県警によると、同市周辺も含む北九州地区で1月~8月に発生した交通事故は4820件で、前年の同じ期間から約16%、932件減少し、この15年の同じ期間で最少だった。
県警交通規制課によると、18年度、同市の4カ所の交差点に右折車両分離信号や歩車分離式信号を設置。17年度にも3カ所に整備され、設置の前後1年間で事故件数は約半分になったという。同課の梶原浩幸次席は「北九州市では右折車両分離信号が1966年に初めて設置された。今後も順次設置していく」と話す。
2019年8月末現在、同市には右折車両分離信号は計24基設置されている。設置には右折専用レーンを設ける必要があり、用地確保などが課題となる。(野間あり葉)
西日本新聞社
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