「一票の格差」が2・08倍だった昨年10月の衆院選は投票価値の平等を求める憲法に反するとして、二つの弁護士グループが選挙無効を求めて起こした全国16件の訴訟で、すべての判決が9日出そろった。憲法に違反しない「合憲」が9件、違憲の一歩手前と警告する「違憲状態」が7件と拮抗(きっこう)する形だった。最高裁が早ければ年内にも示す統一判断が注目される。
一連の訴訟では2月1日に高松高裁が「違憲状態」とする最初の判断を示し、最後となった9日の広島高裁は、横溝邦彦裁判長が「格差が2倍をわずかに超える状態で投票価値の平等に反するとはいえない」と述べ、合憲とした。
一票の格差は、議員1人あたりの有権者数が日々増減するのに、国会の区割りや定数調整が追いつかないことで生じる。今回の有権者数は、最も少ない鳥取1区が約23万で、最多の東京13区は約48万。鳥取1区の人の1票は東京13区の人の2票より価値が高いことになり、同様に鳥取1区と比べた価値が半分以下になる選挙区は全国289のうち都市部を中心に29あった。
この状態を各判決はどうみたか。共通するのは、国会には投票価値の平等以外のことも考慮して制度を決める一定の裁量があり、格差の大きさだけですぐに違憲とするわけではない、という考え方だ。結論の分かれ目は、「近く是正する」という国会の姿勢をどう評価したかだった。
違憲状態とした高松高裁は…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル