36人が死亡した京都アニメーション放火殺人事件から18日で2年がたつ。当時、全身に大やけどを負った青葉真司被告(43)の治療にあたった元主治医が朝日新聞の取材に応じた。「裁判で真実を語ってほしい」と願いを込める。
「彼は今、命の重さを受け止めてくれているんですかね」。鳥取県米子市の鳥取大医学部付属病院。上田敬博(たかひろ)教授(49)は言った。
近畿大病院に勤めていた2年前、青葉被告の治療チームの中心となり、約4カ月にわたって取り組んだ。
事件から2年たつが、「まだ何も真相がわからない」と上田さん。取材にあえて応じた。
青葉被告と対面したのは事件2日後。横たわる姿に、上田さんは「助からないだろう」と思った。
熱気がこもった手術室で治療に没頭した日々は忘れない。手術室に立つと、どこからか「死なさないで」と声が聞こえる気がした。目の前の命の裏側に、大勢の被害者や遺族の無念を感じた。「背中や肩を押されているようだった」
やけどは全身の9割以上に及び、緊急手術は12回を数えた。気を緩められず、心身に異変を感じたこともあったという。
治療が功を奏し、9月中旬には声が出るようになった。青葉被告は「ああ」と一言発した後、静かに涙を流したという。
介助されれば体を起こせるま…
この記事は会員記事です。無料会員になると月5本までお読みいただけます。
残り:207文字/全文:753文字
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル