「問題児なんていない」 遊び場に立ち続ける「第3の大人」の気づき

 日差しが降り注ぐ8月初旬、東京・新宿の戸山公園の一角で開催されている「新宿・戸山プレイパーク」では、子どもたちのはしゃぐ声が響いていた。水で全身びしょぬれの子、泥を気持ちよさそうに触る子、身長の倍以上ある木の上のデッキによじ登る子――。思い思いに遊びを楽しんでいた。

 「自分の責任で自由に遊ぶ!」がモットー。木漏れ日が気持ちいい広場に既製の遊具は存在せず、あるのは木製の手作りやぐらや木に結ばれたロープなど。誰でも無料で自由に遊べ、公園にありがちな禁止事項もほぼない。ルールはみんなで考え、大人は見守りに徹するのがお約束だ。

 「ナオ、俺こっから登ったんだよ!」

 「ナオ、見てて!」

 「ナオ」と呼ばれ、子どもたちから親しまれていたのがプレイリーダー橋川尚尭(なおたか)さん(31)だ。多くは語らず、つかず離れずの距離感で子どもと接する。特別なことをしなくても、橋川さんのもとには自然と子どもたちが集まってくる。

 運営する「新宿・戸山プレイパークの会」は1998年、地元の母親有志によって作られた。今は新宿区の助成金を受けてプレイリーダーを雇い、週4、5日、パークを開催。泥遊び、木登り、火遊びなどが日常的にでき、乳幼児の親子連れから小中高校生まで、幅広い年齢層の子どもが遊びに来る。1人で来ても、そこにいるみんなが友達となり、交ざり合って遊ぶ。

 プレイリーダーは遊びの環境を整え、時には一緒に遊び、子どもを見守るのが仕事だ。毎日、やぐらやロープなど敷地内の安全を点検。けが対応や大事故を想定したシミュレーションも行い、多少のリスクは恐れずに、安心して遊べる場を提供する。

 全国には様々なプレイパークが存在し、多くの場所で複数のプレイリーダーが常駐する。日本では特に資格は必要ないが、「子どもをコントロールしない心、子どもをありのまま受け入れるマインドが必要」と橋川さんは言う。

学校や街角、自然の中……様々な場所で、多様な大人たちが日々、子どもの育ちをみつめています。子どもや若者と関わる人たちを訪ね、「学びの今」「子どもの今」を紹介します。

「問題児」は大人が作り上げた

 橋川さんは大学卒業直後から…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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