図書館とはどんな存在で、どんな役割を担っているのか。図書館には、市民への責任や約束を記した「図書館の自由に関する宣言」がある。文部科学省が全国の公立・学校図書館宛てに出した「拉致問題関連本の充実」を求める文書をめぐり、この宣言が注目を集めている。(田添聖史、宮崎亮)
「図書館の自由に関する宣言」は1954年5月、公益社団法人・日本図書館協会(東京都中央区)の総会で採択された。協会理事長の植松貞夫・筑波大名誉教授は「戦時下の反省に立ち、誰からの圧力にも屈しないという決意表明だった」と説く。
背景には、戦前や戦中に図書館が担った「思想善導」の歴史がある。
第1次世界大戦を目前にした1913年ごろから、国は図書館への介入を強めた。図書館は国が優良と認め、検閲を通ったものを重点的に置いた。
戦前は「思想を同調させるのに加担」
40年ごろには、国家の影響…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル