「国際問題になりかねない」 開閉会式演出の小林氏解任

 東京オリンピック(五輪)で開閉会式のディレクターを務める劇作家の小林賢太郎氏(48)が、ナチスによるホロコーストユダヤ人大虐殺)を揶揄(やゆ)する表現を過去に用いていたとして、大会組織委員会は22日、小林氏を解任したと発表した。翌23日夜に国立競技場東京都新宿区)である開会式については「予定通り実施する方向で準備を進める」とした。

 今回問題となったのは、小林氏がお笑いコンビ「ラーメンズ」として活動していた時のコントで「ユダヤ人大量惨殺ごっこ」というセリフを用いたこと。その動画が21日深夜からインターネット上で拡散し、批判が集まった。

 米国のユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は22日未明、「どんな人にもナチスの大量虐殺をあざ笑う権利はない。この人物が東京五輪に関わることは600万人のユダヤ人の記憶を侮辱している」とする非難声明をHP上に出した。

 組織委の橋本聖子会長は22日昼前に開いた会見の冒頭、「過去に歴史上の痛ましい事実を揶揄(やゆ)するセリフを使用していたことが分かりました。これを受け、本日解任することにしました」と述べた。

 菅義偉首相も22日夕、記者団に「言語道断。まったく受け入れることはできない」と述べ、秘書官を通じて組織委に同様の内容を伝えたことも明らかにした。

 政府関係者によると、官邸側に一報が入ったのは22日早朝。ユダヤ人人権団体が出した非難声明についても早い段階で把握していたという。ナチスによるユダヤ人大虐殺に絡む発言だけに「国際問題になりかねない。開会式まで時間も残されておらず、すぐに対応すべきだ」(官邸幹部)として、組織委側に厳しい対応を求めたという。

 中山泰秀防衛副大臣は22日未明、サイモン・ウィーゼンタール・センター側と連絡をとったことを自身のツイッターで明かした。

 小林氏は組織委を通じてコメントを出し、「不快に思われた方々に、お詫(わ)びを申し上げます」と謝罪。コントは1998年に発売されたビデオに収録されたもので、セリフは自身が書いたと明かし、発言当時「浅はかに人の気を引こうとしていた」とした。

 組織委によると、小林氏は演出全体の調整役。解任後に演出内容を改めて精査したが「小林氏が一人で演出を手がけている部分はなかった」とし、プログラムは変更しない方針。

 開会式の演出チームを巡って…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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