「国際銀行口座、開きたい」相談受けた銀行員が客のSNSを見ると…

宮沢崇志

 兵庫県警姫路署は詐欺被害を未然に防いだとして、りそな銀行姫路支店の八木敦子さん(38)に感謝状を贈った。

 7月5日午前、窓口業務に就いていた八木さんに、50代の男性が話しかけた。「国際銀行の口座を開設したいんだけど」

 これまで受けたことのない相談だった。分かりませんとだけ答えることもできたが、八木さんは会話を続けた。「なぜ口座開設が必要なのですか?」

 男性は紛争地帯への支援に150万円を送るのだという。後に2千万円が返ってくる、とも話した。送金のための150万円を融資してもらうことはできるか、という話になり、八木さんは詐欺だと確信した。

 男性は、SNSで知り合った女性の話を信じ込んでいるようだった。「証拠」としてSNS上の会話を八木さんに見せた。

 「かなりの量のやり取りがありました。『親愛なる友人』という表現を見て、もしかしたら日本の方ではないのかな、という印象を持ちました」

 相手からのメッセージには「銀行には知られないように」というような文言があったが、相手を信じている男性は、八木さんにその部分を読まれても気にしない様子だった。

 男性を見ていて、「警察に行っては」と八木さんが話しても相談には行かないだろう、と感じた。上司に警察への通報をお願いし、会話を続けた。警察官が到着し、男性は通報していたことを知らされたが、落ち着いた様子だったという。男性から話を聴いた署は、詐欺未遂事件として捜査している。

 姫路署は「白鷺(しらさぎ)とめ太郎」というキャラクターをつくり、特殊詐欺被害撲滅を目指し、姫路市内の事業所と連携している。8月22日に感謝状を手渡した白野邦昌署長は「詐欺の手口は様々。八木さんには、特殊な口座の開設という点に注目していただいた。適切に対応いただき、ありがとうございます」と話した。(宮沢崇志)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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