野良猫にまつわるトラブルを解決しようと、福岡県は地域住民が協力して去勢手術を施し飼育・管理する「地域猫活動」のガイドラインを作成した。冊子で猫の生態や保護状況、活動の心構え、取り組み例などを紹介。県内の殺処分件数は減少傾向にある一方、野良猫についての苦情件数は横ばい状態にある。猫への憎悪が虐待を誘発する懸念もあり、県はガイドラインを周知し、活動を広げたい考えだ。
【画像】耳先を桜の花びらのようにV字型にカットされた猫 去勢・避妊手術を受けた目印
県内(福岡、北九州、久留米、大牟田の4市除く)で、県に引き取られた所有者不明の猫の頭数は、2017年は982件で、13年の2158件より半減した。一方、県に寄せられた猫に関する苦情は、13~16年は約2千~2400件の間で推移。内容の半数以上は「所有者不明」が占めた。17年は1830件に減っている。
冊子は、野良猫が餌場を拠点に半径50~500メートルの範囲で行動することや、年に2~4回出産でき、平均寿命は3~5年であることを説明。去勢手術の利点として、交尾に伴う感染症のリスクが減り、性格も穏やかになる点を挙げている。
活動の成功、失敗例も列挙。ある地域は野良猫に去勢手術を施し、餌やトイレの費用を町内会費から捻出した。活動に携わるボランティアが、野良猫を迷惑がっていた住民にも丁寧な説明を続けた結果、住民の理解を得られたという。一方、地域で面倒を見る猫の頭数の把握がおろそかになり、去勢手術が徹底されず増えてしまった失敗例も載せている。
冊子の概略版として、猫のイラストを多用したパンフレットも作成。冊子、パンフレットともに県ホームページからダウンロードできる。問い合わせは県生活衛生課=092(643)3281。 (大坪拓也)
西日本新聞社
【関連記事】
Source : 国内 – Yahoo!ニュース