長く続く休業や時短営業の日々に終わりが見えるのか。東京都が15日に公表した「ロードマップ」。道筋を慎重に示した内容に、収入減に直面する飲食業界の受け止めは冷ややかだ。
「もとの営業時間に戻れるまでに、店が持てばいいけど……」
JR大塚駅近くにある居酒屋「大提灯(おおぢょうちん)」の3代目店主、伊藤嘉朗さん(50)は、不安を口にした。
店は50年以上続く老舗で、焼きとんやもつ煮が人気だ。4月上旬に1週間ほど休業したが、都の要請に従って閉店時間を午後8時に繰り上げながら、営業を続けてきた。だが、4月の売り上げは例年の9割減に。当面は都から支払われる協力金などでしのぐ予定だが、家賃や人件費など月100万円の固定費が今後ものしかかる。
都が設けた週単位の感染者数の増加比といった基準に、「収束のためには、ある程度厳しい条件を設けるのは仕方ない」と理解を示す。ただし、少なくとも5月中は都の要請が緩和されない見通しで、営業時間短縮の要請が解除されたとしても、「自粛の余韻はしばらく残り、客足が戻るのはずいぶん先になるだろう」と懸念を募らせている。
JR新橋駅近くの中国料理店「蘭苑飯店本店」も、午前3時だった閉店時間を早めて続けてきた。新たにランチを始めたが、4月の売り上げは昨年と比べて4分の1に落ち込んだ。都からロードマップが示されたものの、経営する松永結城さん(59)は「ワクチンができない限り安心はできず、あまり意味がないのでは」と懐疑的だ。
感染防止のため、客席の間隔を空けて営業している。「感染のリスクを考えれば、自粛が緩和されても満席にはできない。もう元には戻れないという不安もある」と漏らす。
東京都と千葉県で「博多うどん酒場 官兵衛」など計4店舗の飲食店を運営する武田勝博さん(40)が心配するのは、「街の人の流れが、すっかり変わってしまった」という点だ。
営業時間を短縮して店を開けてきたが、テレワークが広がって通勤する会社員が激減し、外国人観光客の姿も消えた。4月の4店舗の売り上げは前年比で85%減。都の要請緩和に期待は持てず、「いまは地獄にいるような状況。せめて赤字が出ないくらいに売り上げを戻したいが、その策が全く見つからない」と嘆く。
休業要請の緩和を待たず、独自…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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