築2年になるログハウスの前の地面を掘ると、続々とこぶし大の石が出てきた。
北海道職員の畑島久雄さん(58)は、夏になるとここでできたトマトやトウモロコシなどを送ってくれた両親を思いながら、4回目の両親の命日を前に黙々と石を拾っていた。
2018年9月6日午前3時7分。北海道胆振(いぶり)東部地震が発生し、災害関連死を含む44人が亡くなった。
畑島さんは犠牲者37人が出た厚真(あつま)町に住む父・武司さん(当時86)と母・富子さん(同81)を亡くした。
「実家を見に行ったら、裏山が崩れていた。厳しいかもしれない」
あの夜、地元に住む次兄の武夫さん(60)から急報があった。久雄さんは車で北海道江別市の自宅から約60キロ離れた実家に向かった。ブラックアウト(全域停電)で真っ暗な町並みを抜け、目の当たりにしたのは「この世のものとは思えない光景」だった。
青々とした木々に覆われた裏…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル