1980年代のパソコンは個性にあふれていた。メーカーごとの独自仕様でしのぎを削り、日本が世界をリードしていた。そこに、ライバルを圧倒する描画と音楽性能を引っ提げた1台が現れ、クリエーターや技術者を志す若者たちを夢中にさせた。
この「伝説のパソコン」が36年の時をへて有志たちの手により復刻された。
「私たちの技術で『ロクハチ』を復活させたい」
「無いものは作る、無ければ作るという文化とコミュニティーを形成したパソコンなんです」
昨年4月、40代後半の技術者たち数人の提案は次第に熱を帯びていった。特定用途向けのコンピューターを開発する「瑞起(ずいき)」(横浜市)の会議室で、取締役の米内雄樹さん(42)は、パソコンについて語っているとは思えない言葉の数々に引き込まれた。技術者たちは最後にこう付け加えた。
「夢の続きを描きたい」
ロクハチとは、どんなパソコンなのだろう。
正式名称は「X68000」(エックスろくまんはっせん)という。「ロクハチ」「ペケロク」の愛称で親しまれ、家電大手シャープが1987(昭和62)年3月下旬に発売した。プロが使うシンセサイザーに匹敵する音楽性能と、6万5536色まで表示できるグラフィック性能はライバルに比べ突出していた。
究極のホビーパソコン
シャープのパソコン事業部ではなく、テレビ製造を担う部署が手がけた「変わり種」。あの有名な企業スローガン「目の付けどころが、シャープでしょ。」が発表される3年前のことだった。
伝説のパソコン「X68000」への思いを語った技術者たち。とはいえ復刻は簡単な道のりではありませんでした。技術者たちの細部へのこだわりと、著名クリエイターやファンたちの思いに迫ります。
X68000の発表を報じた…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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