兵庫県香美町香住区境の展望台「大引の鼻」に11日、海難救助用具の非常投浮(とうふ)が設置された。近くの岩場では平成29年12月、地元の県立香住高校3年の男子生徒=当時(18)=が海中に転落し行方不明となる事故が発生。この生徒の母親が同校を通じ香住海上保安署などに働きかけ、今回の設置が実現した。
29年12月、展望台近くの岩場で友人と磯釣りをしていた同校海洋科学科の男子生徒が誤って海中に転落。救命胴衣を着用しておらず、香住海保などが捜索したが見つからなかった。
生徒は当時、就職先が決まり、船員としての一歩を踏み出すことを楽しみにしていた。息子が行方不明となった母親(40)は事故後、自宅のある丹波市から毎月、事故現場を訪れ、「救命道具があれば助かっていたかもしれない」との思いを強くしたという。
現場付近では昨年2月にも釣り客の死亡事故が発生。生徒の母親は同11月、同校を通じ香住海保に救命用具の設置を要望した。
今回設置されたのは「非常投浮」と呼ばれる救命用具で、漁具の浮きに長さ約30メートルのロープを結び、海中に転落した人に投げて救助するというもの。
展望台で開かれた設置式には行方不明となった生徒の母親や同校の在校生、かつての同級生ら約40人が出席。香住海保の職員が在校生らに使い方を説明した。
母親は「息子は香住が大好きでした。そんな香住で悲しむ人が増えないように願っています」と訴えた。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース