連載「僕の好きな先生1985 ~子どもから学んだ新人時代~」の番外編、元小学校教員の久保敬さんのインタビュー後編です。教員生活で感じてきたいまの教育の問題点や、当時の松井一郎大阪市長らに出した「提言書」について語ってもらいました。
――2006年に管理職になり、市教育センターの指導主事も経験しています。
教員研修では「即戦力の育成」みたいなことを求められるようになりました。教員は、指導書の通りのことができることが求められるようになりました。
保護者も変わった。新任の先生が未熟でも大目に見て、自分らも一緒に育ててあげなあかん、ぐらいの感じやったのに、「あんたの責任でしょ」みたいな。その頃から、教員と保護者の関係が、教育サービスを提供する側と受ける側、みたいになりました。
――久保さんは校長だった2021年春、大阪市が学校現場の実情に合わないオンライン学習の施策をとったことに対して、批判的な「提言書」を当時の松井一郎市長らに出しました。その中で全国学力調査についても批判していますが、なぜですか。
基礎的な学力はもちろん必要です。でも学力調査って毎年やる意味も全校での調査にする必要もないと思います。元々は教師の指導力に還元する目的だったはずなのに、いつのまにか学校どうしを平均点で競わせるようになった。平均点は、保護者の所得平均とほんまに比例しているのにね。いま、全国学力調査の過去問を解いて、点数を上げるような指導がなされています。点数の高い県はすごい力入れていますね。
――大阪府では市町村がそれぞれの平均点を公表し、大阪市では学校ごとの平均点もホームページなどで公表しています。
大阪市では学校選択制になってから、新1年生の家庭に配られる区の冊子にも学校の平均点が書いてあるんですよ。
僕が最後に勤めた小学校がある淀川区は小学校が17校ありました。自分が住んでる学区と、隣接する学区の学校に行けるんで、僕のいた学校だったら4校から選べたんです。
学校説明会に来たお母さんが話をしにきて、「毎年、全国学力調査の平均点は全国平均より上ですよね」と言いました。過去の冊子を見たんか、ホームページで見て知っていたのだと思います。
大阪の教育の良い部分つぶされた
「この学校いいなって思って…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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