水面に赤、黄、緑が映える。ハナモモと菜の花が咲き誇り、のどかな里山に春がやってきた。ここは中国山地の片隅。10人ほどが暮らす小さな集落は年に1度、多くの人でにぎわう。(文・田中奏子、写真・上田潤)
山奥の小さなトンネルを抜けると、そこは桃源郷だった。
棚田が広がるのどかな山里に、2300本を超える赤と白のハナモモや、黄色い菜の花が咲き誇る。緑一色の山道から、視界が一気に色づいた。
通り沿いの看板には、こうあった。「天国に一番近い里 桃源郷 川角(かいずみ)」
ここは島根県邑南町(おおなんちょう)。広島との県境の中国山地に位置する。町の人口は約1万人で、過疎化が進む。
なかでも標高400メートルにある川角集落は7世帯10人ほどにまで減り、一番の「若者」が70代。そんな限界集落を一躍有名にしたのがハナモモだった。
住民たちが植え始めたのは2007年。発案者は集落で生まれ育った日高忠正さん(87)だ。最初は観光客を呼び込もうと思ったわけではなかった。
後半では、地元で人気のグルメスポット紹介や、会員登録すると応募できるプレゼントもあります。今回は島根県邑南町の特産品セットです。
「このままじゃ、生活するも…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル