瀬戸内海に浮かぶ弓削島(愛媛県上島町)で育った若者が、全国の高校生を対象にした作文やスピーチのコンテストで相次いで「最高賞」を手にしている。
県立松山東高校の兼頭(かねとう)玄(はじめ)さん(2年)。世界の課題に目を向けたアイデアの数々は、島から得られた学びの「おすそ分け」だという。
《「マカンブブル(おかゆをお食べ)」
故郷の島にいるような安心感に涙が出た。数日前から酷(ひど)い下痢に苦しんでいた。ダガット村のホストマザー自慢の川魚の料理も本当は食べる自信がなかった。英語も通じぬ状況に絶望しかけた。でも彼女は僕の気持ちが見えるみたいに一番望む環境を提供してくれた。ご馳走(ちそう)を用意していたはずなのに。》
兼頭さんが書いた作文「信じる力」は、今年度の「JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト」の高校生の部で応募2万153点から最優秀賞に輝いた。副賞で今夏の海外研修の権利を得た。
審査員長の俳優・エッセイストの星野知子さんは「かけがえのない自然と農園開発の間で揺れるボルネオ島民の葛藤を我がことのように悩み、人の善意を信じて前に進もうという真剣な思いが伝わった」と評価した。
スケールのでっかい挫折
2月17日、東京都渋谷区のJICA東京であった授賞式では、中学生の部の審査員長の教育評論家・尾木直樹さんから「こぢんまりしちゃダメ。スケールでっかくやらなきゃ」と励まされ、星野さんには「何か挫折したことある? 早めに体験した方がいいわよ」と冷やかされた。
兼頭さんは2人のエールに笑…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル