タリバン政権下のアフガニスタンから逃れ、名古屋工業大学で研究員として働く男性(37)がいる。男性は現地の大学の助教授だった。日本で自身の研究を続けながら、現地に残る学生のサポートもしている。「学ぶことを諦めない学生の力になりたい」。いつか帰国し、再び教壇に立ちたいと願う。
男性は、首都にあるカブール大の工学部で教えながら、在アフガン日本大使館でも働いていた。2021年8月、タリバンがカブールを制圧すると、身を隠す日々が続いた。タリバンは、前政権の関係者や外国の企業、団体で働いていた人を捜し回っていた。近所ではタリバンに殺害された人もいた。
日本政府が大使館職員とその家族らを順に退避させ、男性も4カ月待った末、21年12月に妻と3人の子どもと日本に避難した。
日本に着いてからも、様々な困難が立ちはだかった。日本大使館からは、職員契約の打ち切りを言い渡され、仕事や住まいは自分で見つけるよう告げられた。
そこで、留学経験があった名工大の教授に連絡を取った。同大で研究員として勤務できることになり、支援者らの助けによって名古屋の住まいも確保できた。
だが、母国では今も家族や親戚が身を隠しながら暮らしており、不安が絶えない。自身の日本での生活には経済的な制約も伴ううえ、言語の壁もある。
「アフガンの学生たちは、学ぶことを諦めなかった」
それでも、学ぶ環境があることは喜びだ。男性は今、豪雨で氾濫(はんらん)した日本の川の再生などを同大で研究しながら、非常勤講師も務める。
一方、タリバン政権下のアフ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル