戦後74年の終戦の日を迎えた15日、東京で戦死者を悼む人たちの声を聞いた。
遺骨戻らぬ父のため…「語り継ぐ」
「今日は父を思う大切な日。こうして平和な時代を生きていられることに感謝しました」。東京都世田谷区の本間尚代(たかよ)さん(82)は、身元が特定できない戦没者ら約37万の遺骨が眠る東京・千鳥ケ淵戦没者墓苑を訪れ、手を合わせた。
父は、フィリピン・ルソン島で爆弾を持って戦車に突っ込んだ、と生き残った戦友に聞かされた。38歳だった。遺骨はなく、戦後届けられた骨つぼに入っていたのは、名前が書かれた紙切れだけだった。「戦争だけはやってはいけない」
東京都江戸川区の足立テル子さん(83)は父の遺影を抱えて、靖国神社を参拝した。父はニューギニア島で戦死。やはり、遺骨は戻らなかった。「父の魂はここにあるはず」と毎年来ている。戦後は母子家庭で貧しかったが、いまは孫に囲まれて暮らす。「お父さん、孫に恵まれ幸せです。私は孫たちに戦争を語り継いでいきます」
今も目に焼き付く惨状
横浜市金沢区の男性(84)は、30年ほど前から毎年靖国神社に足を運んできた。海軍士官だった父を乗せた艦船は、インドネシア沖で沈没した。「ここに来ると少しばかり近くにいる感じがして、気が休まる」
自身も東京で空襲から逃げ惑い…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル