宿題や定期試験の廃止など大胆な改革で全国的に知られる東京都千代田区立麴町中学校が、指導方針を転換し、改革の多くを元に戻す方向で検討していることが分かった。学力向上などを理由に挙げているという。自由な校風に魅力を感じて転居してきた家庭も少なくなく、保護者らに波紋が広がっている。
同校は、公立校教員などを経て2014年に就任した工藤勇一校長(現・横浜創英中学・高校校長)が「子どもの自主性を伸ばす」などとして、改革を実行。宿題や定期試験、固定した学級担任制などを廃止し、制服(標準服)や体操着も「着用自由」で一部私服も導入した。学校現場の長年の慣習を大胆に変える取り組みは全国的に注目され、工藤氏は、政府の教育再生実行会議の委員にも選ばれた。
だが、複数の関係者によると、同校は今年7月にあった区内の小学5、6年生と保護者向けの学校説明会で、「まだ決定ではない」としつつ、定期試験の実施、学級担任制の導入、指定の制服・体操着の着用などを進める方向で検討していることを明らかにした。
区教育委員会の担当者は取材に対し、同校のそうした方針検討について「正式決定ではないが、検討していると報告を受けている」と答えた。同校は、取材の申し込みに「お話しすることはない」と回答した。
同校は20年3月の工藤氏退任後、後任が今年3月まで務め、同4月に現校長が就いた。同区は区立中が中高一貫校を含む3校しかなく、通学区域を設けず「学びたい学校」を選べる選択制を採り入れている。麴町中には、近年の改革に魅力を感じて子どもを通学させようと、区外から転居する家庭も少なくないという。
説明会の出席者によると、方針転換の理由は、生徒の学力向上や生活指導強化の必要性、地域からの要望など。「来春の新入生から適用」という説明もあったという。
「自由な校風」を魅力と感じ、麴町中に子どもを通わせようと区外から転居してくる家庭も少なくないそうです。新たな方針案に「はしごを外された」と話す保護者も。
「できる子とできない子の格差が生じて…」
都外から転居して区内の小学…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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