「うちで勉強をみてあげる」
西日本に住む20代の女性は小学校高学年のころ、通っていた塾の「せんせい」から、声をかけられた。
親のような年齢の男性だった。人見知りな性格なので、知らない人がいるかもしれない「せんせい」の自宅へ行くことには少し、ためらいはあった。
だが、中学受験を控えていた。よく勉強を見てもらえるチャンス。「がんばらなきゃ」。目をかけてもらっている喜びと、期待に応えたい気持ちがあった。
親には、「勉強、がんばっておいで」と言われた。
最初は週に1回、学校のない日に行っていた。夏休みの間は週に2回ほど。そのうち、放課後にも行くようになった。
数カ月後。休憩中、畳に座って2人でゲームをしていると、せんせいが後ろから手を回し、ズボンの上から下半身を触ってきた。
まだ知識が乏しく、性的な行為への認識はなかった。「なぜそんな汚いところを触るのだろう」。疑問に思うばかりだった。
自覚できない被害
うそや脅しを使い、性的目的で16歳未満の子どもに会うように仕向けることなどが対象の「わいせつ目的要求罪」が改正刑法で新設されました。素直さなどにつけこんで手なずける「性的グルーミング」とも呼ばれる行為。その被害者だったと自覚した女性が状況を語りました。
「悪いのは向こうだ」そう思ったのは
せんせいの行為はやがてエスカレートしていった。
抵抗したり、約束をした場所に行かなかったりすると怒鳴られた。「服を脱げ」という指示に対して渋る小さな抵抗も、怒声によって消された。
被害を受けているという自覚はなかった。むしろ、「せんせいの家族に対し、悪いことをしている」と心配した。
自分が「汚い」という感覚に…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル