「家にいたくない」手にスマホ 知らぬ男にすがった過去



――女性は18歳だった6年前の夏の夜、神戸市内の駅前で男を待っていた。

 男の顔も名前も知りませんでした。

 「家にいたくない」

 数日前、ツイッターでやりとりをしていた男にそうメッセージを送ったら、返事はすぐにきました。

 「ご飯でも行こうか。その後、うちに泊まったらええやん」

 「うん」と返しました。相手のことはツイッターでしか知らないけど、話は聞いてくれそうだったから。なんとなく。

 駅でしばらく立っていると、何度も視線が合う男がいて、近づいてきたんです。

 「○○ちゃん?」

 男は20代半ばくらい。細身の体形で小顔。それに奥二重。正直、タイプでした。

2019年11月、大阪市の小学6年の女児が行方不明になり、栃木県小山市で保護された事件。逮捕された男はSNSを通じて女児と接触し、誘い出したとされる。SNSを通じた誘拐事件は後を絶たないが、子どもたちはなぜSNSでの誘いに乗るのだろうか。SNSを使って家出を繰り返した経験がある女性が、当時の胸の内を語った。

 「お待たせ。おいしい店を探しておいたから行こうか」って言われて、駅近くの焼き鳥屋に行きました。「どこに住んでるの?」「普段は何してるの?」。たわいもないおしゃべりをしていました。

 店を出ると、歩いて15分ほどの男のマンションに向かいました。部屋はきれいに片付いていて。アルコールの勢いをかりて、一気に悩みを打ち明けたんです。

 「親がいちいちうるさい。すぐにけんかになる」「朝から晩までバイトでしんどい。店長もうざいし、こんな生活は嫌だ」

 男は缶チューハイを傾けながら、「うんうん」と話を聞いていました。

――話が一段落すると、男はたばこの火を消し、体に手を伸ばしてきた。

 わかっていたから抵抗はしませんでした。心が苦しいときほど、優しい言葉をかけてくれる相手にすがってしまう。たとえ体目的でも。

 とにかく、家から逃げ出したかったから。

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中学時代の家出先は友人宅

――女性をかわいがってくれた父親は、女性が小学生のころに家を出ていた。

 母は仕事の不満を私にぶつける…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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