伊沢健司
「核のごみ」(原発から出る高レベル放射性廃棄物)の最終処分場選定に向けた全国初の文献調査が進む北海道寿都町と神恵内村について、道内の地質学者ら有志3人が13日、2町村は最終処分場建設地として「地質的特徴から不適地」とする声明を発表した。道内外の専門家ら62人も賛同者として名を連ねた。
声明を出したのは、北海道教育大名誉教授の岡村聡さんら。岡村さんは40年以上前の学生時代、寿都周辺をくまなく歩いて地質を調べた経験があるという。
声明では、2町村の周辺には、噴出したマグマが水で冷やされてできた「水冷破砕岩(すいれいはさいがん)」が広がっていると指摘。この岩盤はもろくて不均質なため「地震が直撃したら容易に破壊が進み、割れ目に沿って地下水と放射性物質が漏れる」と危険性を訴えている。
国と原子力発電環境整備機構(NUMO)は、核のごみを埋める300メートルより深い地下では地下水の動きが「年間数ミリ程度」として安全性を強調。選定前の調査によって活断層を避けるとしている。
これに対し、声明では、核のごみが10万年程度の隔離が必要とされていることから「(調査で)過去10万年の地質は明らかにできても、今後10万年の地殻の挙動を予測するのは、今の地質学や地震学の水準ではできない」と主張した。
声明文は、鈴木直道知事に宛てて届けたほか、両町村の首長や議員にも送る予定だ。(伊沢健司)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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