井岡諒
ロールケーキ「小山ロール」で知られる洋菓子店「パティシエ エス コヤマ」(兵庫県三田市)の運営会社が、労使協定で定めた上限(月100時間未満)を超える時間外労働を半数の社員らにさせたとして、伊丹労働基準監督署から労働基準法違反で2度にわたって是正勧告を受けていた。同社が取材に明らかにした。
月100時間の時間外労働は、労災認定基準の目安の「過労死ライン」と呼ばれる。
同社によると、2018年1月、洋菓子の製造や販売などを担う社員・契約社員約100人のうち、55人の時間外労働が「月100時間未満」の上限を超えていたと認定された。21年1月にも48人が上限を超えたと認定され、それぞれ是正勧告を受けた。
同社は取材に「長時間労働が常態化していた。1度目の是正勧告を受けた時の労務担当の社員が翌年に退職し、その内容が社内で共有されていなかった」と説明した。労基署には3月、労働環境の改善状況をまとめた是正報告書を提出したが、一部の社員の長時間労働が解消できておらず、新たな報告書を作成中という。
2度目の是正勧告を受けた社内調査では、一部の社員らに対する残業代の未払いも発覚し、支払いを進めているという。
パティシエの小山進氏「認識が不足」
同社はテレビ番組に出演していたパティシエの小山進氏(57)が1999年に設立した。看板商品はロールケーキ「小山ロール」。2003年に開いた店舗が三田市にあるほか、ネットでも販売する。小山氏は世界的なチョコレートコンテストで最優秀賞に選ばれたこともある。同社によると、20年8月期の売上高は約18億6千万円。
小山氏は3日付で同社ホームページに「労働関係法令に対する認識が不足しており、取り組みが不十分でありましたことを重く受け止めております」とのコメントを出した。(井岡諒)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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