2021年春卒の大学生たちを対象にした会社説明会が1日、解禁された。就職活動が本格的にスタートした形だが、新型コロナウイルスの感染拡大で、中国地方でこの日予定されていた合同企業説明会は軒並み中止になった。当面は取りやめが続く。学生と企業の接点が失われ、双方が困惑を抱えたまま異例の就活シーズンが幕を開けた。
広島市南区の県立広島産業会館では、館内の電子看板に説明会の中止が表示された。就職情報会社のリクルートキャリア(東京)が開催を計画していた。昨年3月1日の同社の説明会は約6500人の学生でにぎわった。同業のマイナビ(同)も広島市内で開催を見送った。広島大や山口大も1日の学内での合同説明会を取りやめた。
東広島市の大学3年の女子学生(21)は自宅にこもり、一部の企業が実施したウェブ説明会をパソコンで見続けた。「いろんな業界の人に直接話を聞きたかった。どう情報を集めていけばいいのかな」と困惑する。リクルートキャリアは31日まで、マイナビは15日まで説明会を開かない。状況次第ではさらに取りやめが続く可能性がある。
今年から経団連に代わって日程のルールを主導する政府は、昨年と同じ3月に説明会、6月に面接などの選考活動を解禁するよう呼び掛ける。ただ学生に有利な「売り手市場」が続き、早く囲い込もうと既に内々定を出した企業も多い。学生との接点が減れば計画数を満たせなくなると各社は危機感を募らせる。
業務用食品を製造する堂本食品(安佐南区)もこの日、参加予定の説明会が中止になった。堂本健壮取締役は「業務用が中心で社名があまり知られておらず、大事なPRの場。応募者が減り、目標人数を採用できないかもしれない」と焦りを募らせる。
広島市内の建設会社は今月中旬、単独で説明会を始める。参加した学生に座る間隔を空けてもらうなど感染予防策を採る。採用担当者は「感染がこれ以上広がれば開催を見送る可能性もある」と気をもむ。広島ガス(南区)はウェブ上の説明会で補いたい考えだ。
広島大で就職活動を支援するグローバルキャリアデザインセンター長の江坂宗春教授は「大勢が集まる説明会は学生にも不安があるようだ。ウェブでの説明会などの情報提供や相談に応じたい」。山口大の担当者も「企業に出向く際は感染予防を徹底するよう学生に呼び掛ける」と話している。
中国新聞社
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