「川はあふれる」前提に 流域治水への転換は根づくのか

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 今年、防災や環境の分野でよく耳にするようになったキーワードに「流域治水」がある。川だけでなく水が集まる流域全体を見渡し、ハード、ソフトの様々な対策を組み合わせて水害を軽減する考え方だ。

 例えば、森林の保水力を高める、水田の貯水機能を生かす、雨水の貯留や浸透の場を増やすといった手段が考えられる。遊水地、堤防に切れ目を設ける霞堤(かすみてい)や水害防備林のような伝統工法、被害を受けやすい場所からの住居の移転や建物の工夫も選択肢になる。避難の態勢づくりやダムの弾力的な運用も含め、流域の特徴に応じて対策を探っていく。

 国土交通省が7月、「流域治水への転換」を打ち出したことで一気に言葉が浸透した。毎年のように川の氾濫(はんらん)が続き、今後も豪雨が増えると見込まれている。1月には土木学会も転換を提言していた。ダムや堤防だけでは追いつかない現実に、踏み込んだ対策を迫られた形だ。

 もっとも、考え方自体は目新し…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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