大阪府が府民を対象に打ち出した、高校授業料の「完全無償化」案をめぐり、兵庫県が揺れている。県では同様の制度の実現は難しく、県内自治体や議員からは大阪府への人口流出を案じる声が上がる。府在住の高校生を受け入れている県内私立校は、「負担増」に身構える。(鈴木春香)
大阪へ人口流出?
「川を渡って大阪府民になったら高校授業料が無料なのに、兵庫県川西市にいると高いというのはなかなか厳しい」
5月中旬に開かれた県と市町の懇話会。大阪府に隣接する兵庫県川西市の越田謙治郎市長はこう訴え、県の対応方針を尋ねた。
この数日前、大阪府が公立・私立を含む高校授業料の「完全無償化」の素案を発表。授業料が高額な私立では、国や府、学校が負担することで保護者の負担をなくし、兵庫県など府外の学校に通う生徒にも適用するという内容だった。
実現すれば、その負担に苦しむ家庭にとって朗報となるのは間違いない。この制度を魅力に感じ、兵庫県から「大阪への転出超過が加速すると危惧する。一層の施策強化が必要では」。6月の県議会では自民、維新、公明が代表質問で取り上げ、県に対応を求めた。
だが、兵庫県は大阪府のよう…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル