2020年7月の豪雨で大きな浸水被害を受けた福岡県大牟田市三川地区の住民ら70人が5日、市が水害防止策を怠っていたなどとして、市に総額5億5440万円の損害賠償を求める訴えを福岡地裁大牟田支部に起こした。
大牟田市では20年7月6日に大雨のピークがあり、市内で2人が死亡。994棟の家屋が全半壊し、床上・床下浸水が2152棟にのぼった。
訴状などによると、三川地区ではポンプ場が配電盤とエンジンの浸水で停止し、甚大な被害が出た。ポンプ場の設備は40年以上更新されておらず、排水能力が市の計画値の43%だったことなどが被害拡大につながったと主張している。
長時間の浸水で健康被害や精神的被害を被ったり家屋の床や柱が腐食したりしたなどとして、36人が各1100万円、21人が各550万円、13人が各330万円の損害賠償を求めた。死亡した2人のうち1人の遺族も原告団に加わっている。
三川地区は鍋底状の地形で過去にも浸水被害があり、住民は20年の水害以前から市に対策を求めていた。
被災住民が今年1月に被害者会をつくり弁護団が発足。市と文書をやりとりして面会による説明の場を求めたが、市は文書回答のみだった。弁護団は「回答書では市は対策を怠っていたことを認めていないし、住民との協議の場さえ拒否し、誠意を欠いた対応と言わざるを得ない」と批判している。
大牟田市の関好孝市長は「訴状が届いていないためコメントは差し控える。市として真摯(しんし)に対応したい」とのコメントを出した。(西田慎介)
■原告団長「最後まで戦う」…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル