聞き手・照屋健
長い歴史を持つ明治神宮外苑地区で再開発事業が始まった。
神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えた上で建て直し、高さ200メートル近いビルを2棟建てる大規模な計画だ。事業者側はスポーツを生かしたにぎわいの拠点作りを目指しているが、再開発への反対意見も聞かれる。
スポーツ施設をいかした街づくりはどうあるべきなのか。一橋大大学院社会学研究科(スポーツ社会学)の鈴木直文教授に聞いた。
――構想が明らかになった当初から「東京のど真ん中のオアシスは、高層ビルが立ち並ぶ巨大な商業地区に変わっていくだろう」と指摘していました。
「事業を進めるディベロッパーさんは『街づくり』というかもしれませんが、基本的には『お金もうけ』なのは明らかです。市民がお金を使わなくてもくつろげた空間を、どう変えるか。計画から読み解かなければなりません」
「例えば、神宮第2球場を取り壊す計画です。土地の収益構造を考えれば、野球場のように広いスペースを使うスポーツ施設はものすごく効率が悪い。収益性の高い高層ビルのような施設を建てることは、民間企業なら当然の発想でしょう」
――どんな影響がありますか。
「神宮外苑地区は市民が気軽…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル