ウクライナの首都キエフ(現地読みキーウ)でバレエを学び、ロシアのバレエ団に所属する宮崎市出身のバレリーナ近藤雅代さん(28)は、米国公演中に突然のロシアによるウクライナ侵攻を知った。同じ団の同僚にはロシア人もウクライナ人もいて、両国には友人もいる。「芸術に国境はない。私は平和のために踊る」と近藤さんは仲間とともに戦争反対を訴える。
近藤さんはロシアの首都モスクワ在住。宮崎で3歳からバレエを始め、高校卒業後にウクライナのバレエ学校に3年間留学した。卒業後はロシアで経験を積み、2018年からモスクワのバレエ団「Russian Ballet Theatre」に所属。世界各地の劇場での公演に参加してきた。宮崎の子供たちに本場のバレエに触れてほしいと、11月にはロシアから宮崎市に講師を招いて無料のレッスンも開いた。
バレエ団は2月初めに米国に渡り、東海岸のニューヨークから公演のツアーを開始。新型コロナで中断後、約2年ぶりの海外での公演再開だった。2カ月かけて西海岸のサンディエゴまでバスで移動しながら、「白鳥の湖」を48都市で52公演する予定だ。
約40人のバレエ団にはウクライナ人が7人いる。ツアー中も片時もスマホを手放さず、祖国の窮状を伝えるニュースを見続けている。実家から数百メートルで爆撃があった人もいた。ロシアの侵攻を知ってから、ウクライナ人の仲間たちは家族を思い、泣き続けているという。
近藤さんもウクライナの友人たちに連絡を取った。ある人は家族と離ればなれになり、行き先のあてがないまま出国した。大混雑する駅で寝泊まりする人も。とどまる決断をした人もいるが、市街地が戦闘状態となり、外出禁止になっているという。「状況は1時間で変わってしまう。かつて住み、見たことがある街が戦場になっているのが信じられない」
■「私たちは一つの舞台に」…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル