「年末年始はごみが荒れてきます」 清掃員×芸人の滝沢さんの危機感

 年末年始、そして新年。そこで大量に出てくるのが、ごみです。ごみを出す際の注意点などを、お笑いコンビ「マシンガンズ」として活動する傍ら、東京23区でごみ収集の仕事を続ける滝沢秀一さん(46)に尋ねると、話は集積所や最終処分場、一人ひとりの問題意識へと広がっていきました。

たきざわ・しゅういち 1976年、東京都足立区生まれ。98年に相方の西堀亮さんとお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。2012年からごみ清掃員として働く。著書に「このゴミは収集できません」(角川文庫)、妻・友紀さんが漫画を描いた「ゴミ清掃員の日常」(講談社)などがある。

 ――年末年始。大量のごみが出るシーズンですね。

 12月になって、「気がついたらもう年末じゃん」って、みんな急に大掃除を始めるわけです。でも年末になると、資源ごみの回収がある週と、ない週がある。不燃ごみは2週間に1回(月2回)。そうなると、「なんとか年内に捨てたい」となって、ごちゃまぜに捨ててくる。年末になると、ごみが荒れてくるんですよ(笑)。

 ――ごみが荒れてくる?

 過去にもあったんですけど、タオルでぐるぐる巻きにしたスプレー缶とか、ライターとか。捨てる人は、悪いことで、危険だってこともわかっている。でも、やる人はやる。なぜかと言うと、とにかく家の中からごみを捨てたい。目の前からごみがなくなったら、それでいいわけです。

 ――ぐるぐる巻きのスプレー缶。とても危険です。

 不燃ごみではなく、燃やすごみの袋の中に入っているわけです。で、清掃車が火災になる。いま一番問題なのは、リチウムイオン電池。これが一番、やばいです。携帯扇風機にも使われていますが、これが冬になって捨てられる。羽とか持ち手とかがプラスチックなので、可燃ごみに入れるのかもしれないけど、本当に最近多いです。

 ――リチウムイオン電池も大きな問題なんですね。

 何が危ないかというと、清掃車の回転板で圧縮されると火が出ます。その場で火が出るんだったら僕たちでも対処できますが、30分後に急に火が出ることもある。こうなると、ただ燃えていく清掃車を見ているだけです。特殊な車両なんで1台1千万円ぐらいする。で、また新しい車を税金を使って1千万円で買う。これって本来、使わなくていい税金ですよね。ごみの出し方たった一つなんです。

 ――なんだか根深い問題ですね。

 ごみ処理場で燃えることもあります。ベルトコンベヤーが燃えて1億円損失したということも。意外と根深いですよ。リチウムイオン電池は、家電量販店やホームセンターなどで回収してもらう必要がありますが、分別や回収の仕方は自治体によって違うところもあるんです。これは、みんなに知ってほしい問題ですね。

 ――ごみを捨てる側の心がけが問われているようです。

 ごみが出ること自体は仕方がないと思うんですね。ただ、隠さないでくれ、ってことです。ちゃんと、僕たち、ごみ清掃員に分かるように捨ててくれれば、それなりに対処できるんですが、分からないように処分しようとする人が結構います。捨て方が分からないから置いて逃げちゃう人も。分からなければ、清掃事務所に電話してください。ごみの出し方はこうこうですよ、と親切に教えてくれますから。

メロン、ゼリー、牛丼を捨てる理由

ごみ清掃員として11年間働いてきた滝沢さんは、「ごみはウソをつかない」と言います。一体、どういうことでしょうか? 記事の後半では、滝沢さんがみんなに知ってほしい大切な「日本のごみ問題」を語っています。

 ――大掃除のごみを処分する人にアドバイスは。

 粗大ごみは計画して、1カ月…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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