河井案里氏の当選無効に伴う参院広島選挙区の再選挙は25日に投開票され、野党系候補が自民候補らを破って幕を閉じた。いずれも自民を離党した案里氏や夫で元法相の克行被告による買収事件に端を発し、「政治とカネ」への不信がうねりとなった今回の選挙。保守王国・広島で起こった「乱流」のワケを各党の動きから探る。
自民候補が野党系候補の背中を僅差(きんさ)で追いかける展開となった選挙戦最終週。公明党、そして支持母体・創価学会はあせっていた。
広島から遠く800キロ離れた東京・信濃町の創価学会総本部。22日、水面下の動きを幹部が明かした。
「今日、原田稔会長が『もうひと頑張りしてほしい』とのサインを発した」
すでに地元組織は「異例の中の異例」とされる総力戦で臨んでいた。次期衆院選で初めて公認候補を立てる広島3区で、自民からの見返りがほしいという思惑からだ。
それでも新聞各紙は19日朝刊で「横一線」「野党系候補やや先行」と報道。与党が同時期に行った情勢調査でも、自民候補の支持はいまだに伸び悩んでいた。
県内の学会員は19、22の両日、地区ごとに互いの集票数を確認し合い、最終盤のさらなる奮闘を励まし合う会合を開いた。地元学会員はこう言い聞かせた。
「自民の選挙じゃない。これは自分たちの選挙だ」
拡大する自民党候補の支援を呼びかける機関紙「公明新聞」の記事。再選挙期間中、全国版1面に計6回掲載した
そうしたタイミングで出された創価学会トップの「伝令」だった。それはまたたくまに全国を駆け巡った。
翌23日、関西地方の婦人部で活動する女性の携帯に一通のラインメッセージが届いた。冒頭こう始まる。
「緊急連絡」
25日に投開票された参院広島選挙区の再選挙では、37万票を獲得した野党系で諸派新顔の宮口治子氏(45)が、自民新顔の西田(にした)英範氏(39)を3万3千票差で破り、初当選を果たした。投票率は33・61%で、2019年参院選の44・67%を大きく下回った。
在住する府県の学会幹部から…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル