新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言の対象地域となった熊本県内でも、ついに休業要請が出された。対象となる特定業種は「収入ゼロ」も覚悟せざるを得ない状況に追い込まれるが、県が設けた休業要請協力金と事業継続支援金という「補償」は最大30万円。「少しでもありがたいが…」「賃料にも足りない」。支援の拡充を求める切実な声が上がる。
▼明かりが消える
「ここでもパチンコができなくなるのか。仕方ないんだろうけど」。21日午後、荒尾市のパチンコ店。福岡県大牟田市から越境してきた男性(73)は寂しげにつぶやいた。別の店は「今から会議を開いて対応を決める」と慌ただしげ。他の店も「店長が緊急会議で不在」などと対応に追われた。
夜の街の明かりも消える。「従業員やスタッフの生活をどうやって守ればいいのか」。熊本市中心部で複数のキャバクラ店を営む経営者はため息をつく。熊本地震で被災した店舗の改修費の借り入れが残る中、経営者は「法を守り、納税もしているのに融資制度の面で職業差別を受けたこともある。他業種同様に資金繰りの支援してもらえるのか」との不安もよぎる。
▼にぎわいの場は
従業員の「感染疑い」で18~21日を臨時休業としていた鶴屋百貨店(熊本市中央区)は、22日に本館、東館、WING館を再開する。ただし、営業時間は短縮し、化粧品売り場など一部は休業を継続。5月6日まで土日祝日は全館の自主休業を決めた。
大型商業施設「サクラマチ クマモト」(同)は既に映画館や土産店など約半数が自主休業中。運営する九州産交ランドマークは「今後も休業の判断は各テナントに任せる」とし、生活必需品を扱う食料品売り場などは営業を継続する。
▼経営体力持つか
利用者の感染判明で休館中の温浴施設「ピースフル優祐悠(ゆうゆうゆう)」(熊本市東区)は5月1日の再開予定の延期を決めた。県が設けた協力金と支援金について、村上浩二支配人(60)は「ありがたいが、これだけでは…」。
阿蘇温泉観光旅館協同組合(阿蘇市)の稲吉淳一理事長は「地域一丸となって感染終息を実現しなければ、営業再開のめども立たない」と県の休業要請を評価する。自身が経営するホテルは5月20日まで休業予定だが「どこまで経営体力が持つか…」。今後の支援策次第で、希望へのともしびはさらに揺らぎかねない。 (古川努、宮上良二、壇知里、綾部庸介、佐藤倫之)
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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