「店名公表で客激減」感染者利用のラーメン店、県提訴

 新型コロナウイルスの感染者が利用した飲食店として、徳島県が店側の同意のないまま店名を公表したのは違法などとして、ラーメン店「王王軒(わんわんけん)」本店(徳島県藍住町)など経営する運営会社2社が5日、県を相手に計1100万円の損害賠償請求訴訟を徳島地裁に起こした。代理人弁護士によると、新型コロナに関連した店名公表をめぐる訴訟は異例という。

 訴状などによると、徳島保健所の担当者が昨年7月30日、感染者が同26日に同店で飲食していたと店側に連絡し、店名公表の可能性を伝えた。店側は公表に強く抗議したにもかかわらず公表されたという。

 翌31日、公表について、飯泉嘉門知事は、会見で店側から同意を得た上だったとし、8月12日の会見では店側から「(公表は)『やむを得ない』との回答を得ていた」とも説明した。

 店側は「『やむを得ない』と発言したことはなく、同意もしていない」と主張。信用を侵害され、客が激減したなどと訴える。

 県によれば、国が昨年7月に示した、飲食店などでのクラスター(感染者集団)発生を防止する指針では「感染経路の追跡が困難な場合、同意なしで店名を公表できる」としており、担当課は「国の基準に準じた」と説明する。

 本店運営会社の近藤純社長(48)は「店でクラスターは起きておらず、客も立ち寄っただけで店名を公表したのは疑問」と話す。

 県の仁井谷興史・保健福祉部長は「訴状が届いておらず、コメントは控える」との談話を出した。

 王王軒は1998年5月にオープン。濃厚スープと自家製麺で地元で人気を集めていた。2019年には大手コンビニエンスストアのローソンと提携し、王王軒監修の商品を中四国地方で販売したこともある。(松尾俊二、雨宮徹)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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