埼玉県新座市のコンビニエンスストアトイレで1月、子供を産み落として立ち去ったとして、保護責任者遺棄の罪に問われた女(24)の判決が5日、さいたま地裁(新井紅亜礼裁判官)で言い渡される。検察側は懲役2年を求刑。弁護側は執行猶予付き判決を求めている。被告は起訴内容を全面的に認めており、争点は被告に有利な事情があるか、だ。被告人質問で、「今後は子供と一緒に生きていきたい」と供述しているが…。(さいたま総局 内田優作)
■仕事の途中で出産
起訴状によると、被告は1月24日日中、新座市のコンビニのトイレで女児を出産し、そのまま放置して立ち去ったとされる。
初公判は6月21日。検察側は冒頭陳述で犯行に至る経緯を詳述した。
それによると、被告は両親と同居して家業の廃品回収業を手伝いながら、金銭を得るためインターネットで知り合った男性と性交渉をしており、平成30年7月ごろに妊娠に気づいた。父親の心当たりは3人いたが、3人とも連絡が取れなかった。
1人で中絶費用も捻出できず、1月24日に古紙回収の仕事の後に立ち寄ったコンビニのトイレで出産。へその緒は爪で切り、生まれたばかりの女児がいるトイレのふたを閉めていた。
幸いなことに、女児はすぐに発見されて手当てを受けたことから、命に別条はなかった。
■未受診「金銭の問題」
被告側の情状証人として出廷した被告の父親は、妊娠は気づかなかったという。「小さいころからそういうことを親に言わなかった」と証言。ただ、今後については「母親になれるように助けたい」と話し、被告をしっかり監督していくことを明らかにした。
続く被告人質問。被告は検察側の質問に「いずれ子供が生まれることは頭にあった」と供述した。
しかし、妊娠判明後に医療機関を一切受診していないことを指摘されると、「金銭の問題で行けなかった」「いつごろ生まれるか分かっていなかった」と述べるにとどまった。
さらに、「育てるつもりはあった」と供述しながら、女児を産み落とした後にトイレのふたを閉めるという、偽装行為とも取れる行動をしたことについては、「意識が朦朧(もうろう)としていた。記憶がない」。
■女児はどうなる
検察側によると、女児は現在、児童相談所で育てられているという。自治体の職権で戸籍は作られたが、父母の欄は空白だ。
検察側は被告人質問で、女児の養育について質問。被告は「児童相談所に行って、引き取るために準備することを聞いた」「自分の戸籍に入れるため、弁護士に相談している」と供述した。
しかし、この供述は履行されるのか-。刑事裁判は、被告人が罪を犯したか否かや、その罪に対する量刑を判断する場にすぎず、判決は供述の実効性を担保するものではない。
ある児童相談所関係者は「あくまで一般論だが」とした上で、こう話す。
「こうしたケースでは、ただちに親に子供を引き渡すことはしない。親がしっかりと子供を養育できるかを、慎重に見極めている。また。引き渡した後も定期的に家庭訪問をするなどしている」
この女児の健やかな育成のため、刑事裁判終了後は行政によるきめ細やかなフォローが望まれる。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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