「殴られる弟を見るのが一番つらかった」
友美さん(31);
一番つらかったのは、とにかく弟が殴られているのを何もできずに、止めたら自分もたたかれるっていうのが一番つらかった…。
幼いころの友美さんのかわいい写真。
しかし、本当の父親が亡くなったその後の写真は、ほとんど残っていない。
母親の交際相手から、弟と友美さんは虐待を受けるようになった。
友美さん;
弟は男の子だったので、せっかん(体罰)。殴られているのを見るのが一番つらかったなっていうのと、わたしも時々、暴力を振るわれていた。
とにかく、こわい、つらい、苦しいみたいな記憶しかなくて、あまり覚えていないです。
その時、母親は…
友美さん;
良くも悪くも男の人に従うじゃないですけど、暴力を振るわない代わりに、止めてくれることもなかったです。かばってくれたりというのはなかった。
誰かに助けを求めることはできなかったという。
友美さん;
もし相談して、ひどくなったらどうしようとか、より自分がつらい目にあったらどうしようと思ったら、どうしても勇気がでない部分ってあると思います。
きっと自分が声をあげたところで、大人はみんな、きっと(母の交際相手と同じように)そう思ってるんだろうなって思っていました。だから仕方ないんだって思っていました。
その後、母親は交際相手を次々と替え、生活を転々。
そして、友美さんが小学3年生の時、母親が失踪。
友美さんと弟は、養護施設に引き取られた。
友美さん;
衣食住が保証されているし、あたたかい場所で過ごすことができるし、帰りたいとか恋しいというのは、実母に対してはなかった。幾度となく、いろいろな所に預けられたり、置いていかれたりという記憶の方が強烈だった。
虐待相談の増加 多忙な児童相談所
広島市南区にある、児童相談所などがある「西部こども家庭センター」。
虐待相談の増加で、忙しさは増している。
この日も緊急の呼び出しが…
(Q.皆さん、急に呼び出される感じですか?)
広島県西部こども家庭センター・宇都宮千賀子次長;
当番の携帯電話を肌身離さず持っている。
虐待された子どもを保護したと警察から連絡があり、受け入れの準備を始める。
昼間の虐待相談の方がかなり多いものの、夜間の呼び出しも、決して少なくはない。
宇都宮千賀子次長;
「安心してね」と言って夜食を食べてもらう。最初に来た日はゆっくり寝てもらう。
受け入れのあとも、対応や事務など仕事は続く。
保護した翌日は、必ず警察や弁護士、精神科医など専門家を交えて、子どもと親の今後の対応を決める会議が行われる。
広島県西部こども家庭センター児童虐待対応課・松岡良治課長;
初期対応が大事。
自分が言ってもしょうがないんだとか、頑張ってもしょうがないんだとか思ってしまうのが、二次被害や子どもの将来を考えると一番心配。
早めに発見してあげて、助けてくれる人がいるんだと示してあげるのが大事。
話すのが苦手な子どもの心の状態を知るために、砂場に置いたおもちゃで人間関係等を表現してもらい、解決の糸口を探る部屋も。
一方で、虐待を繰り返す親へも面談を繰り返し、経済面、精神面など不安をとりのぞけるよう支援をしていく。
今、虐待の相談件数は増加し、過去最多を記録。
しかし、それは悪いことばかりではないという。
広島県西部こども家庭センター・内山偉文所長;
初期の段階の児童虐待を、児童相談所や市や町が把握する。
そのことによって、養育や教育に苦労する親を支援するきっかけになるというプラスの面もある。
早めの支援につながると思いますので、虐待かなと思ったら早めの通告を。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース