「復興の象徴」でも年収400万届かず…表面化する被災地のジレンマ

 東日本大震災の津波被災地では、巨額の復興予算を投じて住まいや産業の再生が進められてきた。ハードの整備が完了したいま、暮らしやなりわいをどう持続可能なものにしてゆくか。課題もみえてきた。

 宮城県石巻市の牡鹿半島の付け根に、山すそを切りひらいた佐須団地がある。40戸ほどあった佐須浜集落が津波をかぶり、防災集団移転促進事業で高台につくられた。ただ、15区画のうち、いま家が立つのは8区画だけだ。

 造成に時間がかかり、宅地をキャンセルして集落を出る住民が相次いだためだ。盛んだったカキ養殖を続けるのは5軒、後継ぎがいるのは2軒ほど。夫婦2人で新居を構えた本間文雄さん(69)は「いずれ佐須浜が消える」と不安顔だ。

 いいニュースもある。首都圏…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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