観客のいないスタンド。「復興五輪」というフレーズに思い描いたのは、こんな光景だっただろうか。東日本大震災の被災地、宮城・福島で21日、東京五輪の開幕に先立つ競技が始まった。震災から10年。被災者たちの思いが交錯した。
満開迎えるも無観客 何度も「残念」
福島県営あづま球場(福島市)では、ソフトボールの日本―豪州戦があった。藤田倭(やまと)選手は「福島の地でソフトボールが出来るのがうれしい」と試合後に話した。
三回裏、内藤実穂選手が2点本塁打を放つと、日本側ベンチから拍手や歓声がわきあがった。その音がよく球場に響く。取り囲む約1万4千席の観客席は無人。組織委員会は盛り上げの一助にと、ベンチ裏に設置したスピーカーから「ざわざわ」と人混みのようなノイズ音をわざと流し続けた。
球場の近くに住む阿部保昭さん(77)は「復興に向かう姿を多くの人に見てほしかった」と無念さをにじませた。
地域起こし団体の会長として…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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