菅沼遼 遠藤和希
長野市内で4千件を超える住宅が浸水などの被害を受けた2019年の台風19号(東日本台風)災害の発生から4年が過ぎた13日、被災した長野市の豊野地区で、水害の記憶をつなぎ、防災の取り組みに役立てようと住民らが参加した「10・13を伝えていく集い」が開かれた。集いの参加者は水害の犠牲者に黙禱(もくとう)を捧げ、地区の住民が治水対策や町づくりのための取り組みについて報告した。
4年前、豊野地区では千曲川の堤防決壊と浅川の内水氾濫(はんらん)が重なり、住宅の浸水被害が1千件を超えた。土地が低く、特に被害が大きかった豊野区の村山泰彦区長(66)は「豊野区は何度も水害に悩まされた歴史がある。この土地に住宅を構えるのに不安を感じている人も多くいる」という。
豊野地区住民自治協議会は治水等復興対策特別委員会をつくり、内水対策について市などと協議を続けてきた。集会に出席した荻原健司市長は「心の底から安心して暮らせる状況に至っていないことを考えると、やらなければならないことはたくさんある。力を合わせて復旧、復興に取り組みたい」と話した。
決壊した堤防からの濁流が校舎に流れ込んだ長野市立長沼小学校(全校児童81人)でも13日、児童らが長沼地区の住民とともに減災、防災について学ぶ学習会が開かれた。
長沼小では、災害を教訓として刻もうと10月13日を「長沼防災の日」と定め、防災教育に努めている。
児童らは新聞紙を使ってスリッパなどの防災グッズをつくったり、応急手当ての方法を学んだりした。市川英臣校長は「被災から4年を迎え、今春には同じ敷地に長沼保育園が移転してくるなどハード面は元通りになったが、児童らの心の復興はまだまだこれから」と継続した取り組みの必要性を訴えた。(菅沼遼、遠藤和希)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル