第25回参院選(21日投開票)で32ある1人区のうち、全国的に勝負の行方が注目されているのが新潟選挙区だ。国の道路調査を巡って、安倍晋三首相や麻生太郎副総理兼財務相の意向を「忖度(そんたく)した」と発言した自民現職の塚田一郎氏(55)と、野党統一候補の新人・打越さく良氏(51)が激戦を繰り広げている。塚田陣営には13日に麻生氏が2度目の応援に入るなど連日大物が登場しているものの、逆効果ではないかとの見方も。打越陣営も「自民の“助っ人作戦”は大歓迎」とほくそ笑むが、そのココロは…。(高柳 哲人)
公示日に激励に訪れた麻生氏に続き、5日には安倍氏、6日には菅義偉官房長官と、最初の3日間で「ビッグ3」がいきなり現地入り。この日は麻生氏が2度目の応援と、新潟には全国で最も豪華メンバーがそろう。全ては、3選を目指す塚田氏の「忖度発言」の失点を挽回するためだ。
大臣や党幹部による選挙応援は、「政府から当選を期待されている」との印象を与えることは確か。塚田氏も「中央からの応援は、本当にありがたいと思います。選挙に入ってからは『頑張ってほしい』という声をいただけるようになりました」と手応えをつかみ始めている。
ただ同時に、大物の登場は「もろ刃の剣」でもある。特に今回の場合は忖度の相手である安倍氏、麻生氏をはじめとした権力者が応援に駆けつけるという構図。演説を聴く有権者からは「例の失言を思い出した」という声も上がる。さらに、有権者自身の“顔”が見えなくなるという点も。11日の長岡市内の街頭演説では「どちらかというと、(元)防衛大臣に会いたいんだよな~」と、稲田朋美筆頭副幹事長目当てなのを隠さない人もいた。
塚田氏の陣営は「公示前には『誰に応援に来てもらうか』という点でいろいろな意見がありました。ただ、(塚田氏が)麻生先生の下で修業し、同じ政策グループの中でやってきたので」と説明。あえて公示日の新潟入りを依頼したという。
「親分」である麻生氏の応援により「足元の保守層を固めることができたとみている」と選対関係者。選挙戦の後半は新潟市内を中心とした大票田の無党派層への支持を訴えていく。今日14日には幅広い世代に人気の高い小泉進次郎厚生労働部会長が県内2か所で応援演説を予定するなど、今後も大臣クラスが続々投入されるとみられるが、その作戦が正解だったかは、投票結果で明らかになる。
◆塚田氏の「忖度発言」
19年4月1日に福岡県北九州市で開かれた県知事選の応援集会において、地元の「下関北九州道路」が国の直轄調査に移行したことに関し「安倍首相や麻生副総理が言えないので、自分が忖度した」などと、首相らに配慮したと受け取れる内容の発言をした。塚田氏は同5日、国土交通副大臣を事実上更迭された。
◆新潟(改選定数1)
打越さく良(51)無新
塚田一郎 (55)〈2〉自現
小島糾史 (43)緒新
※敬称略、届け出順。<>内数字は当選回数。年齢は21日の投開票日現在
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
Leave a Comment