内縁関係も対象となる扶養手当などを同性カップルに支給しなかったのは憲法が保障する「法の下の平等」に反するとして、元北海道職員が道と地方職員共済組合に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が6日、札幌地裁で開かれた。元職員は意見陳述で性的指向による不公平をなくすよう訴えた。道と共済組合は請求棄却を求めた。
原告は札幌市の社会福祉士、佐々木カヲルさん(52)。戸籍上は女性だが、性自認については「男ではなく女ともいえない」としている。女性のパートナーと同居し、自身の住民票に編入させている。弁護団によると、同性間の扶養関係が認められるかを問う訴訟は全国初。
訴状などによると、佐々木さんは道職員だった2018~19年、道に寒冷地手当の増額や扶養手当の支給を求めた。いずれも内縁関係であれば支給されるが、同性間の内縁関係は認められないとして支給されなかった。また、共済組合に扶養認定を届け出たが認められなかった。佐々木さんは「性的指向によるハラスメント(嫌がらせ)を受けた」などとして退職した。
佐々木さんは意見陳述で、「私を普通に取り扱ってほしい。個人として尊重され、人が生まれながらにして持っているはずの権利を私にも与えてほしい」と訴えた。
佐々木さんは、道などの対応について、「他の職員との公平性を欠き、道民の理解が得られないとしており、不合理な区別、差別だ」と指摘。事実婚、内縁関係と同等の取り扱いをしてほしいと求める要望書や、パートナーとの関係性を証明する書類を提出したにもかかわらず、「無視され、差別され続けた」と述べた。
佐々木さんは、今回の訴えを「SOGI(ソジ)ハラ訴訟」と呼んでいる。「SOGI」とは、どの性を好きになるかを表す「性的指向(Sexual Orientation)」と、自分の性別をどう考えるかを表す「性自認(Gender Identity)」の頭文字を取った言葉だ。
同性婚を認めない民法などの規定が「法の下の平等」を定めた憲法14条に違反すると認めた3月の札幌地裁判決は、「性的指向など人の意思によって選択・変更できないものに基づく区別は、真にやむを得ない区別であるかによって、その合理性を慎重に検討されなくてはならない」とした。
今回の訴訟で弁護団は、性的指向によって道などの取り扱いが異なることについて、「真にやむを得ないといえるほどの理由はない」と主張している。
佐々木さんは法廷で、「社会的に多数である人々、マジョリティーの理解が得られない場合、公の機関こそが、率先して制度を柔軟に解釈・運用し、古い制度を改正し、民間の理解水準を高めていくことが求められる」と述べた。
弁論後の記者会見で佐々木さ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment