「性が売り物で不健全」「社会道徳に反する」。性風俗の業者が新型コロナ政策をめぐって訴えた裁判で、国は性風俗業をこう評した。SNSなどで物議を醸した主張をどうみるか。現場に詳しい人たちに聞いた。
裁判を起こしたのは、関西のデリバリーヘルス運営会社。国はコロナ対策の持続化給付金などの対象から性風俗業を外した。これが法の下の平等を保障した憲法に反するとし、給付金の支給などを求めている。
「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持」することなどが目的の風営法は、デリバリーヘルスを含む性風俗業に対し、都道府県公安委員会への「届出」を義務づけている。スナックやパチンコ店、料亭といった風俗業を公安が「許可」するのに比べると、消極的な姿勢だ。
記事後半では、セックスワーカーの支援に携わる元当事者が複雑な胸中を明かします。
4月に東京地裁であった第1回口頭弁論で、国は過去の国会答弁を引用。性風俗業に届け出を課した理由を述べたものだ。そこでは、性風俗業を「性を売り物とする本質的に不健全な営業」「許可という形で公認するのは不適当」としている。
国はこれらをもとに、性風俗業は「不健全で許可制が相当でない業務とされてきた」「社会一般の道徳観念に反する」と主張。これまでも災害時を含め公的支援の対象ではなかったと訴え、不支給は「差別ではなく合理的な区別であり、違憲ではない」「支給は国民の理解を得ることが困難」と述べた。
こうした国の主張に対し、青山薫・神戸大大学院教授(社会学)は「全く合理的でない」と指摘する。「風営法で国に規制された通りに届け出て、受理されたからこそ営業している事業者が『本質的に不健全』というのは矛盾している」
また、「『国民の理解』『社…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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