「恋愛小説書いたわけでなく……」 島清恋愛文学賞の吉田修一さん

 恋愛を描いたすぐれた小説に贈られる第29回島清(しませ)恋愛文学賞の発表が6月29日、主催する金沢学院大学(金沢市末町)であり、吉田修一さんの「ミス・サンシャイン」(文芸春秋)が選ばれた。当の本人の吉田さんは、「恋愛小説として書いたわけではなかった」と話しつつ、受賞を喜んだ。

 「ミス・サンシャイン」は2022年発行。大学院生の岡田一心が、昭和の大女優、和楽京子の家へ荷物整理のアルバイトに通い、交流を深めていく物語。長崎出身という共通点を持った60歳差の2人の恋が描かれる。

 作者の吉田さんも1968年、長崎市生まれ。「パーク・ライフ」で芥川賞を受賞したほか、「悪人」「横道世之介」「怒り」など多くの作品が映画化されている。

 同賞は学生らが推薦作を選び、作家の村山由佳さん、島田雅彦さん、桜木紫乃さんと同大の秋山稔学長が受賞作を決めるというユニークな選考過程を持つ。島田さんと桜木さんは、昨年まで選考委員を務めた林真理子さんの後任だ。村山さんは第16回に「ダブル・ファンタジー」で、桜木さんは第19回に「ラブレス」でそれぞれ同賞を受賞しており、島田さんは芥川賞などの選考委員も務めている。

 最終選考後の記者会見によると、「ミス・サンシャイン」は「満場一致」だったという。年齢差のある男女と政治や歴史が絡む複雑な構造でありながら、語り口は分かりやすく、書く技術の高さが評価された。

 島田さんは「うまいエンターテインメント書きやがって」と評価した。桜木さんは「技術的にかなわない。これ出してくるのかと思いました」と話した。

 受賞決定後、電話取材に応じ…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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