いつものように夕食の支度をしている時だった。
スマホに、見知らぬ番号からの着信。
北陸の県名が表示されていた。
マユミ(仮名、48)の住む西日本の都市からは、かなりの距離がある。足を運んだこともなければ、親族や知り合いもいない。
間違い電話か何かだろう。
そう思って無視していたが、同じ番号からの着信が3度続いた。
何だろう。電話に出た。
警察署からの着信だった。
トモヤ(仮名、21)の名を挙げて、「息子さんですか?」と確認された。
息子だと答えたが、事態がのみ込めない。
「息子さんを詐欺未遂の容疑で現行犯逮捕しました」
聞けば、特殊詐欺の「受け子」をしたという。
昨夏、記者(28)の祖母(81)が特殊詐欺の被害に遭いました。連載の第4回は、「受け子」として逮捕された21歳男性の母の視点から描きます。
その後も電話口では事務的な説明が続いたが、何を言っているのか、まったく頭に入ってこなかった。
何かの間違いじゃないの。
わが子ながら、おとなしく、思いきった行動をとるタイプではない。犯罪なんて、想像すらできない。
◇
たしかに、トモヤは前日から帰宅していない。思い返せば、その行動は不自然だった。
マユミは、仕事の準備などで…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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