差別と偏見に長年苦しんだハンセン病元患者の家族に最大180万円を支給する補償法が成立したことを受け、ハンセン病家族訴訟の原告弁護団が26日夜、熊本市青年会館(同市中央区)で、家族への差別被害に対する国の責任を認めた6月の熊本地裁判決の報告会を開き、市民ら約30人が参加した。
県内の60代男性原告が登壇し、父親がハンセン病患者だったことで受けた差別体験を語った。男性は「父親のことで疎遠になるなら、その程度の友人だ」と思い隠していなかったが、「小学生時代、上級生から『こいつには近寄っちゃダメだ』とわめかれたときは、家族にも打ち明けられず半年間ほど登校拒否になった」と吐露。「なぜそんなことを言うのか驚き、悔しかった」と振り返った。
弁護団の国宗直子弁護士は6月の判決について、差別偏見を除去する義務は、隔離政策を担った厚生労働省だけでなく、法務省や文部科学省にもあるとした点を評価。一方で「沖縄県在住の原告の多くは、『米国から施政権が返還されるまでの隔離被害について、国に責任は問えない』などとして、損害額を低く判断されたことは問題だ」と指摘した。
補償制度は22日に申請受け付けが始まり、個人での請求も可能だが、弁護団は「原告団に入り、差別偏見解消に一緒に取り組んでほしい」と呼び掛けた。
弁護団は全国一斉の電話相談を予定しており、熊本は30日午前10時~午後6時まで、菜の花法律事務所=096(322)7731。(綾部庸介)
西日本新聞社
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