「私たちは社会に大事にしてもらえなかった。悪い歯車に乗っかったんです」。朝日新聞の新年連載「8がけ社会」を読んだ神奈川県の40代女性は、取材班の一人だった私にそう語った。
2040年に訪れる「8がけ社会」では、社会を支える現役世代が今の8割に減ります。誰もが生きやすく、それぞれの力を発揮できる社会に変えていかなければ、乗り越えることはできません。困難に直面するロスジェネ女性の問題から、その道筋を考えます。
女性が社会に出たのは、1990年代後半から2000年代前半の就職氷河期だ。朝日新聞は07年の新年企画で、当時25~35歳だった世代を「ロストジェネレーション(ロスジェネ)」と名付けた。非正規で働く割合が高く、今も多くが低賃金と不安定雇用にさいなまれている。
フルタイムの非正規雇用で働いて20年近くになる女性は、ロスジェネそのものだ。独身で実家暮らし。今の職場は幸い雇い止めがなく、やりがいも感じている。だが、経験と実績を積んでも評価は上がらず、最低賃金のまま。一人暮らしを始める余裕はない。両親から「私たちが死んだらどうするの」とよく聞かれる。
就職氷河期、運良く就職決まったが
社会に出てすぐ、製造業に正社員で採用された。就職氷河期にしては運良く、学校のOBのつながりですんなりと就職が決まった。職場は9割が男性だった。数少ない女性の日課は1日3回のお茶くみで、宴会では「上座の幹部にお酌をして」と言われた。同じ正社員でも男女で与えられる機会が違い、「どうして私だけ」と違和感が募った。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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