中野龍三、石川友恵、遠藤隆史、森本美紀
北海道の施設で、知的障害のある男女が同居や結婚を望んだ際に不妊処置が提示された問題で、道や国が調査を進めている。施設の対応をめぐっては、子を持つ選択肢を奪ってはならないと批判がある一方、制度が施設での子育てを想定していないという指摘もある。
問題があったのは、北海道江差町の社会福祉法人「あすなろ福祉会」が運営するグループホーム。同会によると、提示したのはパイプカット手術や避妊リング装着などで、約25年前から続けていた。これまでに8組16人が応じたという。樋口英俊理事長は記者会見で、「強制したことは一切ない」「残念ながら、子どもまでは手がまわらない」などと説明していた。
道は問題が発覚した19日から、同法人に職員を派遣し、樋口理事長らに任意の聞き取りを開始。26日に勧告や命令などの措置が取れる障害者総合支援法に基づく監査に切り替えた。不妊処置を受けた経緯などに関して、同法人の職員のほか、利用者や保護者にヒアリングをする。
鈴木直道知事は28日の会見で「(来年)1月中をめどにヒアリングを終了し、法人から提出を受けた書類の確認などを行う。適正な障害福祉サービスが提供されていないことが確認された場合、法に基づく必要な措置を検討する」と述べた。
また、道は来年1月、他施設でも同様の事例がないか、道内全体の施設を対象に調べる。
知的障害などがある人が入居するグループホームで結婚や出産、子育てを希望したとしても、現行制度の枠組みには支援がないのが実情だ。グループホームに入居できるのは原則18歳以上で、入居しながらの子育ては想定されず、施設側に委ねる形になっている。
「生まれた子どもの支援は対象外」
厚生労働省の担当者は「グル…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル