「愛国心」も明記 新しい国家安全保障戦略、前回から内容一部変更

成沢解語

 16日に閣議決定された安全保障関連3文書の最上位文書「国家安全保障戦略」に、愛国心に関する記述が前回に引き続き盛り込まれた。

 政府は今回の国家安全保障戦略で、2013年の前回と同様、自衛隊に協力的な世論形成をめざす取り組みを記しているとみられる「社会的基盤の強化」という項目で、「諸外国やその国民に対する敬意を表し」と触れた上で「我が国と郷土を愛する心を養う」と記述した。その記述の前後は、前回と今回で少し変化している。

 前回は記述の前に、「国民一人一人が、地域と世界の平和と安定及び人類の福祉の向上に寄与することを願いつつ、国家安全保障を身近な問題として捉え、その重要性や複雑性を深く認識することが不可欠」とあった。今回は「平素から国民や地方公共団体・企業を含む政府内外の組織が安全保障に対する理解と協力を深める」との内容になっており、自衛隊が有事の際、自治体や民間企業に国民保護や物資輸送などで協力を求めることがあることを念頭に置いたとみられる。

 また、前回は「愛する心を養う」の記述の後に「領土・主権に関する問題等の安全保障分野に関する啓発や自衛隊、在日米軍等の活動の現状への理解を広げる取り組み(を進める)」と記されていたが、今回は「自衛官海上保安官、警察官等我が国の平和と安全のために危険を省みず職務に従事する者の活動が社会で適切に評価されるような取り組みを一層進める」と変わった。

 また、前回の「これらの活動の基盤となる防衛施設周辺の住民の理解と協力を確保するための諸施策等を推進する」は今回、「これらの者の活動の基盤となる安全保障関連施設周辺の住民の理解と協力を確保するための施策にも取り組む」になった。

 前回にない「海上保安官」などが入り、「防衛施設」が「安全保障関連施設」に表現が変わった背景の一つには、取り組む施策の中に、海保施設を含む安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する土地利用規制法に伴う対応があるためとみられる。(成沢解語)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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