鳥取県倉吉市立成徳、灘手両小学校が統合して出来る新小学校名が「成徳」と決まった経緯を両校の保護者に説明する会合が4日、倉吉市内であった。広田一恭市長は、成徳の校名は暫定的で、残る明倫小との統合時に再検討する考えを示した。住民説明会も開かれ、「納得できない」など怒りの声が相次ぎ紛糾した。
午前中にあった保護者説明会で広田市長は、提案した「打吹至誠」が議会に認められず、修正動議で出た「成徳」になった経緯を説明。「議会の決定が最終結論。時期は明確ではないが明倫との統合時に校名を再検討する。『成徳』は暫定的で一番影響が少ないという議会の結論を執行部としても受け止める」と述べた。
取材に対し、保護者らは不満や戸惑いを話した。灘手地区の女性は「現校名は使わないはずだった。子どもからしたら『大人はウソつきだ、約束を守らない』ってなりますよ」。一方で「このままだと地区同士の争いになったり、子ども同士のいじめになったりするかもしれない。これで進むしかない」と話した。
成徳地区の女性は「灘手の人たちの気持ちを考えると、吸収合併のようになってしまって罪悪感がある」と複雑な様子だった。
住民説明会は灘手地区が先行して4日夜にあり、住民約70人が出席、市議会で「成徳」案に賛成した議員6人も参加した。修正動議を出した藤井隆弘副議長が「住民の反発を考え打吹至誠には賛成できなかった。成徳は現状維持、元に戻すということ」と説明。他の議員は「早い時期に3地域で話し合って納得いく校名に」「至誠の名が入った校名は混乱が続くのを懸念した」などと説明。さらに「打吹」案では議会での過半数を取れそうになかった状況を解説した。
住民からは「仮の名だったら灘手だっていいじゃないですか」「心が痛い。責任を誰が取るのか」などの意見が出た。住民と議員が怒号を飛ばし合う場面もあった。
複数の住民から「仮称で卒業するのはかわいそうだ。早急に新校名を『打吹』に変えて欲しい」との声が出た。広田市長は「いったん4月は成徳でスタートさせていただければ。新1年生に通知も出している」と、理解を求めた。
議論を見つめていた女性は「仮だと言うが、『成徳(仮)』にするんですか? 明倫と統合する時にと言われてもいつになるのか分からない。全く納得していません」と憤っていた。
成徳地区の住民説明会も近く開かれる予定。(奥平真也)
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〈成徳・灘手両小学校統合問題〉 児童数減少のため、倉吉市教委は成徳、灘手、明倫の3小学校統合を決め、先行して成徳、灘手2校を4月に統合する。校舎は現成徳小を使う。両地区の住民らで構成する統合準備委員会は新校名を「至誠」と決め、改正条例案が昨年9月の市議会で可決された。しかし公募では、採用された「至誠」の1件に対し別案の「打吹」が150件寄せられたことなどから市民有志が市に直接請求し、12月市議会で条例が廃止された。統合準備委は「打吹至誠」と決めたが、今年1月の臨時市議会は修正案「成徳」を可決した。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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