ネットでの誹謗中傷によって自ら命を絶ったとみられている女子プロレスラー、木村花さんの母・響子さんが6日、自民党本部を訪れた。花さんの死をきっかけに発足した「インターネット上の誹謗中傷・人権侵害等の対策プロジェクトチーム」の聞き取り調査に応じ、投稿者が速やかに特定できる制度づくりや罰則強化、そしてSNS教育の充実を訴えた。現状では、投稿者の特定や損害賠償請求には高いハードルがあるからだ。 【映像】“ネットと誹謗中傷“自民党どう対策? 与党PT座長 三原じゅん子議員に聞く
プロジェクトチームの座長を務める三原じゅん子参議院議員は「当人のお話を聞かずに勝手に法整備をしていいのか、という考えがあった。現役時代のヘアスタイルとメイクで来られたのでびっくりした。それくらいの覚悟をしないと一歩も外に出られないし、話ができない。そういう中で来てくださったことは本当にありがたかったし、胸が痛くなった。こんな問題が起きるということを想像していなかった20年近く前にできた法律が今も使われている。ログの保存期間が3カ月から最大でも6カ月と短いので、訴訟を起こそうと手続きをしている間に消えてしまう。海外を経由してというようなものであると、弁護士費用もさらにかかる。早く何とかしなければいけないなと思っている」と話す。 そこでプロジェクトチームでは「民事上の対応強化→発信者情報開示の円滑化」のほか、「刑事上の対応強化→刑事罰の見直し」「人権擁護機関等による対応強化」「ネットモラル理解促進、相談対応強化」といった内容の提言を行っている。
一方、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「安倍総理は潰瘍性大腸炎でいらっしゃるが、僕も同じ病気を抱えている。いくら政治家だから、一国の宰相だからといって、病気のことまで揶揄するのは良くないんじゃないかと書いたところ、ものすごく攻撃された。“お前は安倍首相と一緒に病気になって死ね”みたいなことまで書かれた。こんなものは誹謗中傷以外の何ものでもないし、はっきり言って許せない。こういうものは断固として投稿者を突き止め、裁判に持っていくべきだと僕は思う。そこで電話番号が開示されるようになれば、弁護士が直接投稿者を確認することができる」と話す。 その上で佐々木氏は「ただ、あまりにも迅速に情報開示請求ができるようになると、匿名での内部告発を阻害する可能性もある。それが誹謗中傷にあたるかどうかを法廷で争うのはありだとしても、それ以前に投稿者が特定されることを、どこまで許すのか、という問題だ。結果的に裁判で“誹謗中傷ではなく、説得力のある匿名の告発なんだ”と認定されたとしても、その段階で既に社会的に抹殺されてしまっているかもしれない。バランスを考えた、慎重な議論がなされるべきだ」と指摘した。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース