私の視点 伊藤芳浩さん(NPO法人 インフォメーションギャップバスター理事長)
歌詞に手話をつけて歌う「手話ソング」が、人気を集めている。歌手がユーチューブで広めたり、耳が聞こえる人が、学校の手話サークルで学んだりしている。手話や聴覚障害者に関心を持ってもらう、いい機会になっている。その点を評価したうえで、聴覚障害者には、少し困ることもあることを伝えたい。
日本で使われている手話には、大きく二つある。一つは、日本語の文法に従って、単語ごとに手の動きを当てはめ、日本語を話しながら行う日本語対応手話だ。耳が聞こえる人たちの多くが、手話講習会などで学んで覚えるもので、ほとんどの手話ソングも、この手話が使われている。
もう一つは、日本手話というものだ。日本語とは全く文法体系が異なり、別の言語と考えてもいい。これは、聴覚障害者どうしが、コミュニティーで自然に覚えていく。私は、就職した会社でろう者の先輩から習った。私自身は日本語対応手話も使えるが、自分らしさを表せる日本手話の方を積極的に使っている。
私のように日本手話に慣れているろう者が、手話ソングを見ると、頭が混乱し誤解することがある。日本語の文法に従っている手話ソングが、文法体系の異なる日本手話と同じ「手の形」(単語に相当)を振り付けで使っていることがあるからだ。
例えば、英語の単語を日本語…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル